こんにちは、リョウです。
本日は
“SDGsや環境問題に関心がある!”
“そういった問題を少しでも解決していきたい!”
という方向けに記事を書いていきます。
最近、SDGsや環境問題の話題をテレビやSNSでよく見かけるので興味があるという方。
また日本でも豪雨などの異常気象が頻発していて不安を感じているという方も多いのではないでしょうか。
世界中で電気自動車の導入が進んだり、再生可能エネルギーにシフトしたりと対策が進んでいます。
また環境問題関連本の出版も増えています。
その中で本書は「環境問題をいかにして資本論をもとに解決できるか」ということを主題にした1冊です。
環境問題に関心のある方はもちろんですが、資本論についても書かれているので経済学に関心のある方にも読んでいただきたい1冊です。
ちなみに私はビジネスや株が大好きな資本主義人間ですが、
一方で格差や環境問題についてこのままではいけないという問題意識を持っています。
日本のビジネスパーソンには似たような意識の方が多いのではないかと思います。
改めて資本主義と諸問題について考えるきっかけとなったので、そういった方々にこそぜひ読んでいただきたい1冊でした!
それでは解説していきます。
目次
『人新世の「資本論」』を徹底レビュー!
概要
2020年9月に出版された本書。
Amazonのレビューは非常に高評価で、経済学のジャンルではベストセラー1位にもなっています。
さらには「新書大賞2021」も受賞しています。
このように各所で話題になっていたため、本書をご存じの方も多いのではないでしょうか。
筆者の斎藤幸平氏はベルリン・フンボルト大学で哲学博士号を修得しており、
現在は大阪市立大学院経済学部で准教授を務めています。
注意点として、本書は「資本論」というワードを題名にしているものの、
環境問題の解決が主題であり、資本論について議論することがメインの本ではありません。
「資本論の教科書」的な本ではないので注意が必要です。
とはいえ、話の骨子は資本論のため、斎藤氏の豊富な知見が盛り込まれておりマルクス経済学の勉強にもなります。
オススメ度
★★★☆☆(星3)
環境問題の解決策として、「資本論」を提案する新しい切り口の1冊。
既存の対策ではなぜ環境問題が解決しないのかが論理的に書かれています。
環境問題についても、また「資本論」についてもまとめて勉強できるので、読んでおいて損のない1冊だと感じました。
特に資本主義がどのような問題を抱えているかが構造的に書かれており、改めて資本主義というシステムを理解するのに適しています。
Good:
・なぜ既存の環境対策ではダメなのかわかりやすい
・資本主義の問題点がわかりやすい
・「資本論」の概要がわかる
More:
・「資本論」についてがっつり学べるわけではない
・主張の繰り返しが多く単調に感じる部分がある
一方で資本論について読者に説明することが主題ではないため、詳しく『資本論』について解説されているわけではありません。
また特に中盤では主張の繰り返しが多く、書籍全体が間延びしている印象を受けました。
内容
人類の存続すら危機に陥れる環境破壊。危機をもたらしたのは人類であり、資本主義。
資本主義の代わりとなるシステムを生み出して、人類を存続させるか。
その解決策が資本論の中であった!
というのが本作の骨子になっています。
筆者の斎藤氏は、マルクスの書籍からメモ書きまで全てを再編纂するMEGAプロジェクトに携わっています。
本書にはそこから得られた最新のマルクス経済学の知見が豊富に書かれています。
なので既存の「資本論」の延長ではなく、アップデートされた「資本論」を学ぶことができます。
私は「資本論」を読んだことがなく、
「価値」と「使用価値」の違いについてはなんとなくわかるぐらいのレベルでした。
これぐらいマルクス経済学に無知でも問題なく読み進めることができました。
しかし、既存のマルクス経済学の誤解を最新研究を元にアップデートするという点も本書の醍醐味なので、マルクス経済学に詳しいとさらに楽しめると思います。
また本筋の”資本論で環境問題をいかに解決するか”という点については、理論的に納得感があります。
”最新テクノロジーが環境問題も解決してくれるだろう”と漠然と期待していたのですが、
そんなに甘くないということを本書で突きつけられました。
既存の解決策ではなく、なぜ『資本論』なのか。
ぜひ本書をお読みいただければと思います。
一方で個人的な不満点としては
“我々がこの本を読んで環境問題に対して何ができるか”についての提案は不明瞭で具体性に欠ける点が気になりました。
斎藤氏の提案は例えば、著名活動をする・有機農業をしてみるなど、結構難易度が高いです。
資本主義は我々にがっちり根を張ってしまっています。
現状維持のほうが楽なので、”資本主義を超えよう”・”環境問題を解決しよう”と言われても行動する人はなかなかないのではないでしょうか。
なので、現実的に実行可能な範囲の行動提案があると、
この本を読んだ人がより行動を起こしやすく環境問題の解決に近づくなと感じました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
本日は、『人新世の「資本論」』を徹底レビューしてきました。
本書を読むことで、改めて資本主義とは?なにが問題なの?ということを見つめ直すきっかけになりました。
資本主義には大きな問題点があると理解しつつも、そこから抜け出すのは容易ではありません。
変革のための行動を起こすことはなおさら困難です。
最後に不満点で書いてしまいましたが、本書の提示する行動案は難易度が高く、
実行できるのは一部の人に限られると思います。
しかし、具体的な行動は起こせずとも本書を読み問題を理解することだけでも十二分の価値があると思います。
本記事が少しでも、皆さんに環境のことを考えていただくきっかけになればと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。