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【経済学初心者向け】『現代経済学の直感的方法』徹底レビュー

投稿日:2020年12月21日 更新日:


こんにちは、リョウです。

本日は
“社会人になって改めて経済学についてちゃんと勉強し直したい!”
“難しい専門書は眠くなるし値段も高いからまず読みやすい本で経済学を勉強したい。”

という方向けに記事を書いていきます。

タイトルにもある通り、『現代経済学の直感的方法』が非常に良書だったので、
こちらの本のレビュー記事になります。

私は趣味で株を10年近く細々続けているのですが、最近改めて1から真剣に株の勉強し直したいと思っていました。
その上でまず経済学を勉強せねばと思ったものの、文学部出身なので経済学のケの字もわからない…。
とりあえず本で勉強しようと思ったものの、どの本がいいかもわからない…。

そんな状態の中である日書店で『現代経済学の直感的方法』を見つけて冒頭を読むと、

“経済というものが全くわからず予備知識もない読者が経済学の大筋をマスターできる”
“入門書と専門書をつなぐ中間レベルの本”

まさにこれだ!!
と思い手に取りました。

結論、めちゃくちゃ面白いです。
経済の勉強を網羅的にしたかった私からすると最高の一冊でした。
経済に関するところでなんとなく理解しているつもりだったこと(例えばインフレ/デフレの関係とか各主流経済学派の違いなど)が一冊で理解できます。

ぜひ皆さんに読んでいただければとは思いつつも、念のためオススメする人しない人を書いておきますね。

【オススメする人】
・経済及び経済学の勉強をしたかったけど最適な本に出会えなかった人
・これから社会に出る学生及び就活生
・株とか投資をやっていてもう一歩成長するために小手先じゃない知識を得たい(本書を読む前の私)

【オススメしない人】
・すでに経済学(ミクロ、マクロ)について十分理解している人
・ぶ厚めの本はどうしても苦手という人

【Goodポイント】
・経済の本だけど、文章が平易でスラスラ読める
・歴史の事例が豊富で面白い
・経済学の基礎から仮想通貨など最新トピックまで扱っている

内容については以下で各章ごとに学べることをまとめています。
各章の冒頭に記載してあるトピックスの多くに興味がある、また知りたいと思っている方はぜひ本書を手にとってみてはいかがでしょうか?

各章の内容

1.資本主義はなぜ止まれないのか

この章でわかること
・なぜ資本主義は成長を止められないのか
・金融機関と金利の歴史
・経済が停滞するとなぜ政府は金利をいじるのか

などなど。

特に政府が金利を調整する理由はわかっているようでいまいちわかっていませんでした。
が、この章を読むことで人に説明できるぐらいには理解できました!
経済を語る上で金利がすごく重要なんですね…。

ちなみに本章の話の筋は資本主義の仕組みと歴史を解説して、そこから”資本主義はなぜ止まれないのか”について言及していきます。
金利うんぬんよりもこっちが主題になります。

昨今、環境問題が社会の一大関心事になり、企業もSDGsを必死に推進しています。
が、資本主義という仕組み自体は全然衰退せず、企業は相変わらず利益を追求していますよね。
正直SDGsについても推進しないと企業のイメージが悪化して売上に響くから推進している感が否めません。

では、なぜ資本主義が止まれないのでしょう?
私はこの疑問についてあまり考えたことすらなかったので全然答えられませんでしたが、この章を読んだので今はなんとなく説明できそうです。

この第1章を読むだけで、
”そもそも資本主義のシステムを説明できないや…。”
“金利…なんとなく知ってるけどそんなに重要なの?”
“投資をやる上でまず経済システムを理解したい!!”

みないなことを考えている方のニーズは満たされると思います!

2.農耕経済はなぜ敗退するのか

この章では表題通り、なぜ農業が商工業に敗れるのかについて説明されています。
経済の発展に伴って1次産業から2次産業、そして3次産業へと推移していくのは、みなさんも理解されているところかと思います。

しかし、なぜこの現象が起きるのでしょうか?
あえて、ここでは説明せずに実際に読んでからのお楽しみにしていただければと思います。
言われてみれば、”まぁそうだよね”という感想ではあるものの、なかなか理由をちゃんと説明できる人はいないのではないでしょうか。
なぜ発展した経済が農村的暮らしに戻ることができないのか。
この章を読めばこの疑問はすっきり解決します!

3.インフレとデフレのメカニズム

3章では、インフレとデフレが解説されます。
出た!という感じですよね、インフレ・デフレ。
私は物価が下がったり上がったりするやつでしょ、ぐらいの理解でした。

よくニュースに出てくる話題だけど、結局インフレ・デフレだからなに?と思っている方も多いのではないでしょうか。
その疑問もこの章を読むと解決します。

また1章でも触れた、なぜ政府は金利を上げ下げするのかという点についても、インフレとデフレの観点を含めながら解説されているのでより理解が進むのではないかと思います。

4.貿易はなぜ拡大するのか

現代経済の中心は貿易と行っても過言ではありません。
保護貿易や自由貿易、これらも知っているようでなかなか説明できないのでしょうか?
特に大航海時代以降は常に貿易を中心に世界が回っています。
南北戦争も第二次世界大戦も貿易と経済に端を発するもの。

今で言えば、なぜアメリカと中国は関税の掛け合いをするのか。
それに加えて上記に書いた貿易の歴史や貿易に関するワードの意味がこの章を読むことで理解できます。
インターネットの登場で今後、貿易がどうなっていくのかを考えさせられます。

5.ケインズ経済学とは何だったのか

この章では経済学における主要学派について説明されています。

アダム・スミス経済学、ケインズ経済学、マルクス経済学

全部聞いたことはあるけどそれぞれどのような違いがあるかよくわからない…。
この本に興味がある方はこういった感覚の方が多いのではないでしょうか?
むしろ全部ちゃんと説明できる方には本書は必要ないかなと思います!
私のように全くここに知識のなくても、この章を読めばそれぞれが誰に支持されて歴史上どのような役割を担ってきたかが理解できます。

特に個人的にはアダム・スミスの「神の見えざる手」を経済の基本システムだと思っていた中で、ケインズ経済学の「必ずしも経済は自動回復機能を持っているわけではない」という主張はたしかにと思いました。
詳しくはぜひお読みいただければと思います。

6.貨幣はなぜ増殖するのか

我々の生活の中心となっているお金のシステムについてしっかりと勉強できる章になっています。
後続の章で最近ずっと話題になっているビットコインを始めとする仮想通貨や暗号通貨について解説されているのですが、いきなり仮想通貨を理解しようとしても難しく結局理解できないということが起きると思います。
仮想通貨について理解したいという方は多いと思いますが、まずこの章でしっかりお金の誕生や仕組みについて理解しましょう。

しかし、この章はかなり難しくちゃんと理解するのにかなり苦労しました…。
なので気合を入れて読まれることをオススメします。

7.ドルはなぜ国際経済に君臨したのか

この章も6章に続いてお金の話になります。
また続く8章の仮想通貨につながる部分の根幹をなす部分になるので、難しい内容ではありますが頑張って読み進めていきましょう!

いま当然のごとく世界中で基軸通貨として使われているドル。
しかし、なぜドルが使われているか説明できる人はこれまたなかなかいないのではないでしょうか?
なぜ日本円やポンドではなくドルが基軸通貨になったのか。
この話は面白く、仮想通貨が世界の基軸通貨になりうるのかという点につながっていきます。
早く仮想通貨について説明してよ!と思いますが、ここはぐっとこらえてまず貨幣の基礎を6章、7章で身につけましょう。
ついに次章はがっつり仮想通貨とブロックチェーンの解説になります。

8.仮想通貨とブロックチェーン

6章、7章から続き、ついに本題の仮想通貨に入ります。
仮想通貨について存在は知っているけど知識はまだない方や、
ブロックチェーンの基礎やマイニングについてちょっと知ってるよという方はこの章で仮想通貨とブロックチェーンの基礎的な仕組みについてがっつり勉強することができます。

私は後者で、ブロックチェーンについて何冊か書籍を読んで勉強していたものの、いまいち全体像を理解できていませんでした。
しかし、本書では前段に貨幣についての解説があったため、貨幣の中で仮想通貨がどういう立ち位置にあるのか、貨幣の歴史を踏まえて仮想通貨の未来がどうなるのかということがわかりやすかったです。
特にビットコインの将来性については納得感があり、今から手を出すのはやめておこうかなと思いました。
一方で非中央集権制というビットコインの特徴を持ちつつ、ビットコインの抱えている問題点を解決できる仮想通貨があればめちゃくちゃおもしろいことになるなと確信を持てました。

この章に興味があって本書を手に取ろうと思われている方は、6章7章あっての8章となっているので、まず前段の章をしっかり読まれてから読み進めることをオススメします!

9.資本主義の将来はどこへむかうのか

最終章、まとめの章になります。
筆者の視点で今後資本主義はどこに向かっていくのかについて論じています。
資本主義は大が小を吸収していく仕組みとなっており自然界ではあまり良い状況とは言えません。
行き詰まってしまった仕組みは外部からの圧によって改善されることが多い(イスラムの圧によりヨーロッパが成立したように)ですが、はたして資本主義に対抗できる圧が存在しうるのかというのが最終的な論点となっています。

この議論に対する結論はここではあえて記載しませんが、9章を読むことで過熱した資本主義の中でより良く生きるヒントが見えてくると思います。

特にいま世界中で自国第一主義が台頭していることやインフルエンサーによるサロンがブームになっている理由がこの議論から伺い知ることが可能です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

本日は、
『現代経済学の直感的方法』
についてのレビューを書いてきました。

経済学の初学者には最適の一冊といっても過言ではないと思います。
かなりボリュームがある割に価格も2400円(税抜)と異常に高いわけではないので、
下手に専門書を買って失敗するよりもまず本書から勉強に取り掛かるのが最善かなと思います。
特に経済学の基礎から流行りトピックの仮想通貨まで網羅的に勉強できるのはありがたいですね。

一回読んで全てを理解するのはなかなか難しいですが、各章の最後にまとめがついてるので後から見直しやすいのもgoodポイントでした!

ぜひ本書を通じて経済学って面白いっ!と思っていただければと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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リョウ

読書と株とゲームを愛しています。ベンチャー企業→3ヶ月で心折れて退職→一部上場企業→歯車感を感じて転職→広告ベンチャー企業で商品企画を担当。
働きながら、起業しつつブログ運営をしています。